東京人の夏富士登山 2024

よい富士登山にする為の心得

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良い富士登山にするにはどうしたらいいか?一言で言うなら、『楽しみの範疇で行う』だと思います。負けず嫌いや競争意識、勝ち負け思考、パワフルアピールや充実アピールなど、ムキになったり無理矢理な発想で行うのではなく、その場その時のいろいろを味わい、楽しみながらの富士登山。これが出来たら、他人との交流も上手くいくかも知れないし、余力ができれば不測の事態にも対応できる力が持て、上手くいったらきっと良い体験や思い出になるでしょう。逆に、楽しめなくなったら引き返し時と判断してもいいんじゃないかな。

疲れても腐るべからず

最初のうちは疲れも無く、非日常の珍しさや、今まで見たこともないダイナミックな風景に感動させられたりでまさに楽しいの一言ですが、疲れてきたり、筋肉痛や関節痛に襲われなどすると楽しむどころか気分や機嫌も悪くなりがちです。しかし、だからといってそれを表に出すのは上手くありません。周囲の人達に心理的圧迫を与えたり、誤解を与えたりすることもあります。少なくとも疲れや体調悪化は他人のせいではありません。

自分が疲れている時は他の人も疲れているものです。みんな同じなのだと考えるべきかもしれません。また、機嫌を悪くして腐ってしまっては、他人との良い出来事も起きなくなってしまうでしょう。

常に体力は少し残しておくくらいのつもりで余裕を持って。体力的にも時間的にも。

こういった余裕を大切にできたら最高の富士山登山になるんじゃないかな。

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他人が助けてくれないからといって怒るべからず

頂上で日の出までの間、寒く厳しい環境下で長時間の待機を強いられるわけですが、自分の装備だけでその間の待機に耐えられなければ、山を下りるべきでしょう。頂上まで来ながら非常に残念ではありますが、今回は自身の経験と備えが足りなかったのだと諦め、自分の至らざるを反省し、次回に改善補強して再チャレンジしてください。ちなみに、そういう経験をした人は多いはずで、実は熟練者らもそうやって登山の経験を積み、回を重ねるほどに知識や能力を磨き、高めていったはずです。

それからその際、他人が手を差し伸べてくれなかったからといって怒ったり、気を悪くするのは愚の骨頂です。その予定に必要な装備を準備していかなかった自分が至らなかったのだと考えてください。他人も同じく辛いはずで、荷物装備だって自分ひとり分しか持ってきていません。他人だって自分のことだけで精一杯なのです。装備を他人に貸してしまったら、貸した人は使えなくなってしまいます。準備していった人が使用できず、準備してこなかった人が使用するのでしょうか?苦労して頂上まで持っていった人が使えず、持って行かなかった人が使うのでしょうか?それは誰もがおかしいと考えるでしょう。

自己の処理能力の限界を超えていると感じたら、キッパリと諦めて下山するべきです。
その回は、そこまでやった自分を褒め、学び、潔く下りましょう。

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長時間、登りの歩き方

上手い歩き方とは、スリップしない歩き方だと思います。一度のスリップは大したものにはなりませんが、五合目から頂上までの膨大な歩数の中、スリップの数が多ければ多いほど体力の無駄になるでしょう。まさに “塵も積もれば山となる” です。この無駄を減らすことが上手い歩き方に繋がると思います。

スリップしない為には、①浮石に乗らない、②いきなり踏み足に体重をかけない、ことと思います。よって、一歩足を踏み出したら、ちょうどブルドーザーのキャタピラのように足裏の全面をシッカリと地面につけたまま段々と体重を移動するような要領で一歩また一歩と前へ進んでいきます。その様子はちょうど「地面を崩さぬよう」な歩き方と同じです。結果、踏み出した足で地面を崩さぬような歩き方をすれば、体力が効率的に歩行に使われ、体力の消耗は少なく抑えられると思います。

山に優しい歩き方は自分にも優しいと言えます。

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横を向くとき/見上げるとき

自転車などを運転しているとよく分かるんですが、人は横を向くとバランスを崩します。登山のような歩行でも同じで、横を向くと平衡感覚を崩すようです。風景を見る際はどこかへ掴まって・・・。また、立ち止まっては山頂を見上げるということは多いと思いますが、「見上げる」 という行為は後方に倒れることがあるので、どこかへ掴まって見た方が安全なようです。

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一登山一道具揃え

一度の登山で一つの新道具を備えるようにしていくとその道具を使う楽しみが味わえるのと、回を重ねる毎に装備が充実していきます。

登山ごとに上達する自分を感じるのもまた一興になるでしょう。

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登山を順延or中止するなら

富士山麓まで行きながら、もしも天候悪化で登山を延期 or 控えようと思ったなら、資料館見物やドライブや温泉入浴等に切り替えることをオススメします。例えば、富士吉田市の歴史民族博物館では富士登山に関する屋内外の展示物が充実しており、しかも見学者も少なくて常に空いています。また、富士山周辺にはゆったりできる入浴施設も点在しているので、折角の休日、そういった保養に切り替えてはいかがだろうか。

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食事や休憩中の人の風上で埃立てるべからず

食事をしている人たちの風上で走ったりすると、埃が発生し、風下の人たちの食べものに埃が入ってしまいます。食事している人たちの風上で走り回るのはやめましょう。一方、食事をとる時は、周囲の子供たちの遊び場に配慮し、空きスペースの風上に場所を取って食事をすべきかと。

広場の最も風下に陣取って、風上を歩くな・走るな・遊ぶなというのも強引と思います。

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小屋前のベンチで荷物を置いての席取りすべからず

疲れている人は多く、座りたい人も多いのです。ベンチの上に荷物を置くことや、そのまま何分も留守にすることはやめてもらいたい。出来るだけ詰めて座り、荷物は足元へ。また、グループや団体はまとまって行動したいものです。個人の場合は端に座りましょう(私はそうしています)。 それと、混雑にもよりますが、ベンチに横になられると気分は最悪です。

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小屋前の通路でタムロしないで

富士吉田口(河口湖口)登山道では登山道が小屋の前を通るようになっています。キツイ階段を上がった先に小屋とその前のベンチがありますが、その手前でタムロされると通れないばかりか、進めなくなります。立ち止まる際には端へ寄って、通路をあけてください。

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小屋到着時に大声で話さないで

常時という訳ではありませんが、登頂前の仮眠時間帯に小屋で大声で話さないでください。苦労の末に予約していた山小屋に到着して嬉しくなるのはわかりますが、その感情そのままに歓声を上げられると仮眠に入った人たちは眠れないのです。団体さんが到着する度に大歓声。その度に起こされるんです。

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挨拶を返すのも大変なんです・・・

「山で人に会った場合は挨拶を」 という教えや配慮は良いことだとは思いますが、個人が団体さんからやられると返すのは大変なんです。しかもそれが登頂後の下山ラストスパート時の疲労のピーク時で、いくつもの団体と遭遇する場所だと尚更です。例えば、河口湖口登山道出入り口ゲートから安全指導センターのある6合目までの坂道などは、頂上からの下山者はほぼ間違いなくヘトヘトかと。富士吉田口下山道のあの延々と続く九十九折(つづらおり)と、その後、六合目上までの急な下り坂で体力を使い果たした方は多いはずです。そして六合目から五合目バスターミナルまでは更にまだ3~40分ほどの上り下りがあるわけです。

そもそもこの教え自体、登山がごく一部の限られた人たちのものだった時代のものだとしたら、現在のようにいくつもの団体が同時来山し、混雑する時代には不向きなのかも知れません。挨拶を返さなかったからといって不快に思うことはやめてください。それ以前に、挨拶にも「言い方」というのもあります。更に、良い応対をされなかったからといって 「チ!」 だの 「んーだよ」 といった反応するのもやめてください。それが登山後の後味に関わっては、折角の教えや配慮の意味は本末転倒でしょう。

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マズイかな?と思ったなら・・・

山小屋前を歩いていたところ、その先の建物の脇から霧雨混じりの突風が凄い勢いでビューっという音をさせながら吹き下りるのが見えた。辺りでは霧が強風に流され薄暗く、この上の悪天候を感じていた。山小屋の建物を過ぎると遮るものがなくなった為に強風が体に当たり、同時に上へ通じる登山道の濡れた岩場が目についた。

「これは行ったところで・・・」

どうしようかとかなり考えた。おそらくこれより上へ登ったところで良い景色も見れないだろう。果たして雨風の中を無理して行くほどのことが有るのだろうか?登ったところで返ってくるだけなら登らずに下りるべきか、と。

ところが、後から来たしかも普通の女性が岩場に足を掛けて登って行くのと見ると、なんだ行けなくもないのではないか、むしろここで止めたら一般女性でも行けるところを行かなかったことになる、という思考が発生した。

悪天候と岩場を目前にして「悪天候につき中止した」と誰かに言っても、その岩場を他の一般女性らが登っていったとなると「なんだ、他の人は行ったんじゃないか」などと言われそうな気がした。普通に行けるところを行かなかったと思われそうなことが癪になった。

私は岩場に足をかけた。その後、数件の山小屋を過ぎて誰も居なくなったところを見ると、おそらく無理して登っていった方々は山小屋を予約してたんだと思う。

自分が「これはマズイかな?」と思ったら、他人に関係なく自分の判断を通すべし。他人には他人の予定や事情がある。

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